ビニール傘

原作者 きなもち
登場キャラ数 男:2女:0無0
ジャンル コメディ
セリフ数 90
目安時間
利用規約 配布元とURL書いてってことです
提供元 音楽作品を制作している1次創作グループ
メディア  
登場人物 性別/声 セリフ数 その他
大沢
(おおさわ)
45 傘の持ち主ではない人
箕浦
(みのうら)
45 傘の持ち主

サークル情報

001 大沢 「よし、じゃあそろそろ出ようかな。よいしょ」
002 箕浦 「・・・待て、待て待て。待て!」
003 大沢 「はい、なんでしょうか?」
004 箕浦 「なんでしょうか?じゃないよ。それ、俺の傘だよ」
005 大沢 「え?・・・いやぁ、ビニール傘なんてどれも同じ見た目じゃないですか。
どれが自分のかなんて、イチイチ見分けつかないでしょう?」
006 箕浦 「確かに見分けはイチイチつかないよ」
007 大沢 「そうでしょう?じゃあこれが誰のかなんて、ハッキリ分かんないじゃないですか」
008 箕浦 「いやでもさ・・・いま俺、手に持ってたよね?」
009 大沢 「・・・はい?」
010 箕浦 「いやだから俺が手に持ってたじゃん。そのビニール傘。ビックリしたよ。
すれ違いざまにいきなりグイッてやって、持ってっちゃうんだもん」
011 大沢 「・・・はあ」
012 箕浦 「はあ、じゃないよ。あいづち打ってないで。俺の手から持ってったよねって。いま」
013 大沢 「はい」
014 箕浦 「普通に認めるんだね。またビックリしたよ」
015 大沢 「では、失礼します」
016 箕浦 「待て、待ておい」
017 大沢 「なんですか、もおー」
018 箕浦 「なんでキレ気味なんだよ。返せよ」
019 大沢 「何がですか?」
020 箕浦 「傘だよ」
021 大沢 「これですか?」
022 箕浦 「そうだよ」
023 大沢 「なんで」
024 箕浦 「『なんで』?」
025 大沢 「なんでですか」
026 箕浦 「いや、俺の傘だから」
027 大沢 「自分の傘だから返せって言うんですか?」
028 箕浦 「そうだよ」
029 大沢 「そんな言い分が通用すると思っているんですか!」
030 箕浦 「なんでだよ。それ通用しなかったら何が通用するんだよ。これ以上なく正当な理由だろ」
031 大沢 「正当な理由・・・?」
032 箕浦 「そうだよ。それは俺の傘だから、俺に返せ」
033 大沢 「それが正当な理由ですか」
034 箕浦 「そうだよ。当然だろ?」
035 大沢 「大体『自分の傘だ』とか言ってますけどね・・・それがどうしたって言うんですか!」
036 箕浦 「根本から否定してきたな。全世界共通の自然の摂理がいま崩壊したぞ」
037 大沢 「自分の傘だから返せってね、自分の言ってることがおかしいとは思わないんですか!」
038 箕浦 「その言葉をそっくりそのまま返すから、お前も傘返せ」
039 大沢 「なんで返さなくちゃいけないんですか!」
040 箕浦 「俺の傘だからだよ」
041 大沢 「だから、あなたの傘だったらあなたに返さなければいけない。その根拠は何なのかと聞いているんです!」
042 箕浦 「もう意味不明だよ。とにかくそれ、俺のだから」
043 大沢 「それでは答えになっていないでしょう!」
044 箕浦 「なんでだよ。もういいから返せよ」
045 大沢 「さっきから返せ返せばっかり・・・こんなに話が通じない人は初めてだ!」
046 箕浦 「俺もこんなに常識が通じない相手は初めてだよ」
047 大沢 「とにかくこれはあなたのビニール傘なので、返すも何もありません!失礼します!」
048 箕浦 「待てってだから。もう論法メチャクチャだな」
049 大沢 「なんなんですか!」
050 箕浦 「『なんなんですか』はこっちのセリフだよ。俺の傘なんだから、俺に所有権があるの。わかる?」
051 大沢 「何をバカなこと言ってるんですか!それは当然じゃないですか!」
052 箕浦 「それは当然なんだ。俺に所有権があるのは当然なのね?」
053 大沢 「あなたの物なんですから、そりゃあなたに所有権がありますよ!」
054 箕浦 「だよね?だから返してって言ってるの」
055 大沢 「どうしてそういう話になるんですか!」
056 箕浦 「どうしてそういう話になり得ないんだよ・・・え、なに?新手の強盗か何か?」
057 大沢 「あなた・・・ついに人を強盗呼ばわりですか!」
058 箕浦 「ついにじゃねぇよ。むしろ今の今までしなかった事を評価してほしいわ」
059 大沢 「私はあなたの傘を持って店を出ようとしただけなのに、
まさか強盗とまで言われるなんて思いませんでしたよ!」
060 箕浦 「まさか強盗だとは思われないと思っているなんて思わなかったよ」
061 大沢 「もう我慢の限界だ。警察呼びます」
062 箕浦 「お前が?お前が呼ぶの?いやいいけど別に。呼びなよ」
063 大沢 「大事になりますよ。いいんですか?」
064 箕浦 「いいよ別に。構わないよ」
065 大沢 「分かりました。じゃあさっさと携帯を出してください」
066 箕浦 「え?なんでだよ。お前が連絡すればいいだろ?」
067 大沢 「分かってますよ!だから早く携帯を渡してください!」
068 箕浦 「ええ、もうなんだよこいつ。前後関係が全然分かんねぇよ」
069 大沢 「あなたの傘でしょう!?」
070 箕浦 「そうだよ。それは俺の傘だよ」
071 大沢 「だからあなたの携帯で連絡するって言ってるんですよ」
072 箕浦 「どういう事だよぉ。もうなんか怖いよぉ」
073 大沢 「あなたの傘の事で揉めてるんでしょう!?
あなたの傘の事で揉めてて警察を呼ぶことになったんだから、
私が通報するとしてもあなたの携帯で通報するのがスジってものでしょう!?」
074 箕浦 「あーもう、もういいやもう」
075 大沢 「なんですかその態度は!」
076 箕浦 「もうあげるあげる」
077 大沢 「え?」
078 箕浦 「もう面倒なんで、その傘あげます」
079 大沢 「くれるんですか?」
080 箕浦 「はい、もうあげます」
081 大沢 「でもこれはあなたの傘でしょう?」
082 箕浦 「いいですよもう。あげます」
083 大沢 「あんなに返せ返せ言ってたのに?」
084 箕浦 「もういいです。あげます」
085 大沢 「そうですか。では失礼します」
086 箕浦 「ええー・・・もらうんだぁ・・・なんだったんだよあいつ一体。
怖いわぁ最近ほんと・・・え、うわ、戻ってきた。え、なに?」
087 大沢 「雨やんでたんで、いいですこれ」
088 箕浦 「・・・え?」
089 大沢 「この傘いりません。失礼します」
090 箕浦 「・・・・・・今日バイト休もう」
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