原作者 | カルボレン |
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登場キャラ数 | 男:1女:0無0 |
ジャンル | シリアス |
セリフ数 | 49 |
目安時間 | 分 |
利用規約 | 配布元とURL書いてってことです |
提供元 | 音楽作品を制作している1次創作グループ |
メディア |
登場人物 | 性別/声 | セリフ数 | その他 |
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とある廃墟の住人 (ゆうかいはん) |
♂ | 49 |
001 | 住人 | 「私は死にたい」 |
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002 | 住人 | 「私はただ死にたいとそう願った」 |
003 | 住人 | 「理由は特にない」 |
004 | 住人 | 「ただ人生が退屈だった」 |
005 | 住人 | 「そんなつまらない理由で私は死にたいとそう思った」 |
006 | 住人 | 「私は手に入れた銃を取り出した」 |
007 | 住人 | 「手に入れるのは簡単だった」 |
008 | 住人 | 「知り合いのつてで手に入れた」 |
009 | 住人 | 「退屈ではない人生の為に、色んなことに手を出した」 |
010 | 住人 | 「そうして手に入れることが出来たのは、悪い友達と汚れた自分」 |
011 | 住人 | 「それに気がついてしまったとき、世界のすべてが色あせた」 |
012 | 住人 | 「そんな退屈でつまらない人生を、さっさと終わりにしたかった」 |
013 | 住人 | 「だからこそ、私は拳銃を頭に向けた」 |
014 | 住人 | 「こめかみに強く押し当てて目をつぶった」 |
015 | 住人 | 「冷たい銃の先端が感じなくなる程の時間が経った」 |
016 | 住人 | 「震える細い指先で、ゆっくりと引き金を引いた」 |
017 | 住人 | 「引き金は指に合わせて動く」 |
018 | 住人 | 「怖かった」 |
019 | 住人 | 「人差し指が敏感になったように感じていた」 |
020 | 住人 | 「引き金を弄んだ」 |
021 | 住人 | 「少し引いては元に戻し、そしてまた引いて、また戻した」 |
022 | 住人 | 「少し楽しかった」 |
023 | 住人 | 「引き金が重く感じた一瞬に、とても大きな音がした」 |
024 | 住人 | 「頭に鉛がめり込んでいった」 |
025 | 住人 | 「痛いとは思わなかった」 |
026 | 住人 | 「ただ、強い衝撃が全身を駆け巡った」 |
027 | 住人 | 「頭蓋を砕いて脳へと沈み、中身をすべてぶちまけて、私の身体はだらりと揺れた」 |
028 | 住人 | 「身体は動かない」 |
029 | 住人 | 「何もすることが出来無い」 |
030 | 住人 | 「何も感じない」 |
031 | 住人 | 「あれほど敏感になっていた指先の感覚も、もうなくなってしまった」 |
032 | 住人 | 「目も動かすことができず、同じ映像を映し続けた」 |
033 | 住人 | 「銃を持たない方の手がだらりと垂れたその姿」 |
034 | 住人 | 「そこに滴る朱の液体に、散りばめられた内容物」 |
035 | 住人 | 「まるでイチゴジャムのようだと、とても冷静に思っていた」 |
036 | 住人 | 「イチゴジャムが欲しくて手を伸ばして、まるで届かないような、そんなことを考えた」 |
037 | 住人 | 「一滴、また一滴と液がしたたり落ちた」 |
038 | 住人 | 「一滴落ちる、そのたびに、赤の入り江に波が立った」 |
039 | 住人 | 「そのたびに揺れる液面に、映る自分の顔を見た」 |
040 | 住人 | 「ぐちゃぐちゃになった自分の顔はまるでザクロのようだった」 |
041 | 住人 | 「裂けてこぼれ出た自分の目玉と目が合った」 |
042 | 住人 | 「目は必死に頭から離れまいと手を伸ばしているようだった」 |
043 | 住人 | 「どのくらい経ったか分からない」 |
044 | 住人 | 「この目がカメラの代わりになってただただ映像を流し続けた」 |
045 | 住人 | 「いつしか雫は滴りきって、入り江に夜がやってきた」 |
046 | 住人 | 「昼間に囲まれた夜の入り江は、タールのような重さを持った」 |
047 | 住人 | 「わずかに面に映った私の顔がほほ笑んだような気がしたときに、 目玉が揺れてずるりと落ちて、夜の中へと沈んでいった」 |
048 | 住人 | 「映像は黒に沈んでいって、何も映らなくなっていった」 |
049 | 住人 | 「こうして途絶えるまでの時間は私の生きてきた暮らしの中で、 最も退屈ではない瞬間だった」 |
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