プロポーズ

原作者 きなもち
登場キャラ数 男:2女:2無0
ジャンル コメディ
セリフ数 199
目安時間 17分
利用規約 配布元とURL書いてってことです
提供元 音楽作品を制作している1次創作グループ
メディア  
登場人物 性別/声 セリフ数 その他
秋山 啓吾
(あきやま けいご)
81  
頭屋 夕乃
(かしらや せきの)
71  
(ちち)
34  
(はは)
13  

サークル情報

001 頭屋夕乃 「遅くなってごめん!店長に仕事押し付けられて・・・」
002 秋山啓吾 「いいよいいよ。まだ三十分くらいしか待ってないし」
003 頭屋夕乃 「ありがと。でもどうしたの?急にこんな高そうなレストランで食事なんて」
004 秋山啓吾 「いやほら、もう俺たちそういう時期じゃない?」
005 頭屋夕乃 「そういう時期って?」
006 秋山啓吾 「ほら、俺らが付き合ってからもう三年経つし・・・そろそろ、ね」
007 頭屋夕乃 「だから、そろそろって?」
008 秋山啓吾 「あ、ごめん。その・・・」
009 頭屋夕乃 「なに?言いにくいこと?」
010 秋山啓吾 「そういうわけじゃないんだけど・・・」
011 頭屋夕乃 「じゃあ言ってよー。気になるじゃーん。あ、もしかして高級レストランで私の機嫌を取りつつ浮気の告白を」
012 秋山啓吾 「違うから!そういうのじゃないから!」
013 頭屋夕乃 「じゃあなによー」
014 秋山啓吾 「・・・三年前のこと、覚えてる?」
015 頭屋夕乃 「三年前?」
016 秋山啓吾 「うん、俺らが出会った時のこと」
017 頭屋夕乃 「もちろん覚えてるわよ。うちのコンビニに毎日のようにくる男性が突然『受け取ってください!』
って言いながらメールアドレスと電話番号の書かれた紙を差し出してきて、戸惑いながらはそれを受け取って」
018 秋山啓吾 「なんでちょっと不審者じみた言い方するんだよ」
019 頭屋夕乃 「だって実際不審だったじゃん。周りの人がみんなこっち見てたんだから」
020 秋山啓吾 「え、そうだっけ?」
021 頭屋夕乃 「ま、そりゃ店内であんな大声出したらねぇ」
022 秋山啓吾 「・・・でもその不審者のアドレスにメール送ったのは誰だよ」
023 頭屋夕乃 「別にいいじゃんか。そのおかげで私たち今こうして付き合ってるんだから」
024 秋山啓吾 「いやでも・・・そうだな、うん」
025 頭屋夕乃 「で、それがどうしたの?
まさかそんな昔恥ずかしい話に花咲かせるためだけにこんなレストランに呼んだわけじゃないんでしょ?」
026 秋山啓吾 「そうなんだけど・・・っておい。昔恥ずかしいて」
027 頭屋夕乃 「本題はなに?」
028 秋山啓吾 「・・・夕乃と出会って、話して、遊園地や水族館、いろんな所へ夕乃と一緒に行って、
そうして三年間過ごしてきて俺は決心したんだ」
029 頭屋夕乃 「・・・なにを?」
030 秋山啓吾 「夕乃、結婚しよう」
031 頭屋夕乃 「・・・」
032 秋山啓吾 「・・・」
033 頭屋夕乃 「出会った頃は」
034 秋山啓吾 「・・・え?」
035 頭屋夕乃 「付き合い始めた頃は『夕乃さん』って呼んだり敬語使ってたりして可愛かったのになぁ」
036 秋山啓吾 「それは出会ったばっかりだったし、夕乃が年上だから」
037 頭屋夕乃 「それが今ではこーんな偉そうになっちゃってさー。
それにあれかい?その指輪は給料三ヶ月分の指輪とやらかい?」
038 秋山啓吾 「まぁ、そんなところかな」
039 頭屋夕乃 「はぁ~、ベタだねぇ~。ありきたりだよベタだよ啓吾くん」
040 秋山啓吾 「いいだろ別に。というか他にどうしろって言うんだよ。いいから早く返事をしてくれよ」
041 頭屋夕乃 「君があんまりにベタだから私もベタな返事しかできないよ啓吾くん」
042 秋山啓吾 「ベタな返事?」
043 頭屋夕乃 「・・・ふつつか者ですが・・・よろしくお願い致します」
044 秋山啓吾 「え、それってつまり」
045 頭屋夕乃 「だからぁ、OKって言ってんの」
046 秋山啓吾 「俺と結婚してくれるのか?」
047 頭屋夕乃 「何回言わせんのよ!」
048 秋山啓吾 「・・・ぃやったああああああああ!!!」
049 頭屋夕乃 「うるっさい!バカ!抱きつくな!」
050 秋山啓吾 「でも俺本当に嬉しくて」
051 頭屋夕乃 「分かった!分かったから!みんな見てるからやめて!離して!」
052 秋山啓吾 「ご、ごめん」
053 頭屋夕乃 「もう・・・本当にバカなんだから」
054 秋山啓吾 「はは、ごめん」
055 頭屋夕乃 「ったくもう・・・」
056 秋山啓吾 「とうとう愛しの彼女と結婚かぁ」
057 頭屋夕乃 「あっ!
でも結婚よりもプロポーズよりも先にご両親に挨拶して許しをもらわないといけないんじゃないの!?」
058 秋山啓吾 「え?だって夕乃のご両親は・・・」
059 頭屋夕乃 「う、うん。いないよ」
060 秋山啓吾 「じゃあ大丈夫。うちの両親にプロポーズのこと話したら『お前の人生なんだから父さん達のことは気にせず
プロポーズでも何でもしてこい』とか言ってたから」
061 頭屋夕乃 「さすが啓吾の両親・・・相変わらずだね・・・」
062 秋山啓吾 「息子の将来に関わることなのに勝手に決めてこいなんてな。
ま、俺のこと信じてくれてるからそんなこと言えるんだろうけどな」
063 頭屋夕乃 「すでに許可が出てることは分かったけど、それでも挨拶もせずに結婚するわけじゃないでしょ?
ご両親にはいつ挨拶に行けばいいの?」
064 秋山啓吾 「夕乃、明日バイトは?」
065 頭屋夕乃 「明日は今日より早くは終われると思うけど」
066 秋山啓吾 「じゃあ明日の夜、俺の両親に夕乃を紹介。それでどう?」
067 頭屋夕乃 「ぇえ!?あ、明日の夜!?そんな急に大丈夫なの!?」
068 秋山啓吾 「まぁ軽く顔合わせ程度に紹介するだけだから」
069 頭屋夕乃 「で、でも何にも準備とかできてないし・・・」
070 秋山啓吾 「俺からちゃんと説明しておくし、俺の両親だから大丈夫だって!」
071 頭屋夕乃 「そうかな・・・」
072 秋山啓吾 「心配するなって。大丈夫だから」
073 頭屋夕乃 「う、うん・・・」
074 秋山啓吾 「それじゃ、そろそろ帰ろうか」
075 頭屋夕乃 「え、もうそんな時間?」
076 秋山啓吾 「うん、プロポーズしてたせいか時間が経つのが早いですな」
077 頭屋夕乃 「まさかプロポーズ後にそんな気の抜けたセリフを聞くとは思わなかったわ・・・」
078 秋山啓吾 「送っていくよ」
079 頭屋夕乃 「あ、今日はいいかな」
080 秋山啓吾 「なんで?」
081 頭屋夕乃 「なんていうか、ちょっと一人で明日のこととか考えたいっていうか」
082 秋山啓吾 「んー、そうなの?」
083 頭屋夕乃 「うん、そうなの」
084 秋山啓吾 「じゃあ、わかった。気をつけて帰れよ」
085 頭屋夕乃 「うん、今日はごちそうさま。ありがとうね!明日、ちゃんと私のフォローしてよね!」
086 秋山啓吾 「わかってるって。それじゃ、また明日!」
087 頭屋夕乃 「うん、じゃあね!」
088 秋山啓吾 「・・・・・・というわけで父さん、母さん。この人が俺の彼女の頭屋夕乃さんです」
089 頭屋夕乃 「初めまして。啓吾さんとお付き合いさせていただいてる頭屋夕乃と申します」
090 「ちょっと待て・・・この人がお前の彼女か?」
091 秋山啓吾 「ん?そうだよ」
092 「・・・そうか」
093 秋山啓吾 「どうしたの?父さん」
094 「啓吾、あんた本気で言ってるの?」
095 秋山啓吾 「本気って・・・当たり前だろ母さん。本気じゃなきゃ紹介もプロポーズもしないよ」
096 「はぁ・・・」
097 秋山啓吾 「な、なんだよ父さん!急に溜め息なんかついて夕乃に失礼だろ!?」
098 「啓吾、悪いがこの結婚を認めるわけにはいかない」
099 秋山啓吾 「・・・え?今なんて言った?」
100 「この結婚は認めない。もっと言えば交際も認めるわけにはいかない。今すぐ別れてくれ」
101 秋山啓吾 「は、はあ!?ちょ、まてよ父さん!なに言ってんだよ突然!?どういうことだよ!?」
102 「言葉の通りだ。今すぐ夕乃と別れなさい」
103 「当たり前でしょ!なに考えてるの啓吾!」
104 秋山啓吾 「いやわけわかんねぇよ!おかしいだろ!?だってこの前」
105 「確かに言った。お前の決めた相手なら何も口出しせず許すと。しかし常識というものがあるだろう」
106 秋山啓吾 「・・・常識?どういうことだよ父さん?
それなら父さんの方が突然意見を翻したりして非常識なんじゃないのか!?」
107 「だからお前なぁ・・・」
108 「父さん」
109 「ん?」
110 「もしかして啓吾は・・・」
111 秋山啓吾 「な、なにを小声で会話してるんだよ。言いたいことがあるならはっきり言えよ」
112 「なぁ啓吾」
113 秋山啓吾 「なんだよ」
114 「お前もしかして何も聞かされてないのか?」
115 秋山啓吾 「はぁ?聞かされてないってなにを?」
116 「・・・はぁ、そうか。すまなかったな啓吾。お前は何も悪くないというわけだ」
117 秋山啓吾 「な、なんの話してるんだよ父さん」
118 「啓吾に聞いたことと同じことを聞くぞ。これは一体どういうことなんだね、夕乃」
119 秋山啓吾 「は?え、なに?どういうこと?つーか父さんはなんで夕乃のこといきなり呼び捨てにしてんの?なに?」
120 「答えなさい夕乃!一体どういうことなの!?」
121 頭屋夕乃 「啓吾が言った通りよ。私は啓吾と結婚します」
122 「結婚ってあんた・・・!」
123 「ふざけるのも大概にしろぉ!!」
124 頭屋夕乃 「ふざけていません。私は本気です」
125 「これのどこが!なにが本気だと言うんだ!」
126 秋山啓吾 「ちょちょ、ちょっと待ってよ父さん!夕乃!一体どういうことなんだよ!?」
127 「・・・啓吾、お前兄さんのこと覚えてるよな?」
128 秋山啓吾 「兄さんって・・・啓斗兄ちゃんのこと?そりゃ覚えてるけど・・・」
129 「その啓斗が中学卒業と同時に蒸発してしまったことも知ってるよな?」
130 秋山啓吾 「知ってるけど・・・つーかなんだよさっきから!
なんでいま啓斗兄ちゃんの話が出てくるんだよ!
今までの会話と啓斗兄ちゃんになんの関係があるんだよ!」
131 「啓吾にもわかるように詳しく説明してもらおうか、夕乃」
132 秋山啓吾 「夕乃?」
133 頭屋夕乃 「・・・啓吾」
134 秋山啓吾 「え、な、なに?」
135 頭屋夕乃 「啓吾は蒸発した秋山啓斗がどうなったか、知らないわよね」
136 秋山啓吾 「あ、あぁ、全然・・・」
137 頭屋夕乃 「啓吾のお兄ちゃんの秋山啓斗はね、中学卒業と同時に蒸発してからは親から身を隠しながら
一生懸命働いてね、自分の夢を叶えようとしてたの」
138 秋山啓吾 「啓斗兄ちゃんの・・・夢?」
139 頭屋夕乃 「毎日必死に働いて、貧しい生活に耐えつつ必死にお金を貯めて、
そして数年かけやっとの思いで必要なお金を貯めたの」
140 秋山啓吾 「え、というかなんで夕乃はそんなに俺の兄貴について詳しいんだよ」
141 頭屋夕乃 「その貯まったお金を使ってあなたのお兄ちゃんはとうとう自分の夢を叶えたのよ。
・・・女になるっていう長年の夢をね」
142 秋山啓吾 「女になる・・・お、女になる!?」
143 頭屋夕乃 「そ、ここまで言えばもう分かるわよね?」
144 秋山啓吾 「え、え、ってことは・・・え、つまり・・・」
145 「で、啓吾と結婚っていうのはどういうことなんだ?
その理由をまだ聞いていないぞ夕乃。いや、もう夕乃と呼んでやる必要もないな。
このとち狂ったとしか思えない、人騒がせで非常識な大バカ息子!」
146 「啓斗・・・!」
147 秋山啓吾 「啓斗・・・兄ちゃん?」
148 頭屋夕乃 「どうもこうもないわ。私は・・・啓吾が好きなの。愛してるの。
そして愛してもらっているの。だから私は啓吾と結婚する」
149 「結婚ってお前・・・」
150 「なに考えてるの!できるわけないでしょ!」
151 頭屋夕乃 「確かに血の繋がった兄弟だから籍は入れられないけど、それならそれで事実婚という形にすれば問題ないわ」
152 「事実婚ってそんな・・・」
153 「当てつけか?」
154 頭屋夕乃 「え?」
155 「お前の女になりたい願望を頭ごなしに否定した私への当てつけか?」
156 頭屋夕乃 「そんなんじゃないわ」
157 「じゃあなんで!」
158 頭屋夕乃 「言ったでしょ。好きなのよ。啓吾が」
159 「そんなとってつけたような理由がまかり通ると」
160 頭屋夕乃 「啓吾が好きだった。私のものにしたかった。でも私たちは兄弟で、しかも男同士。
どうあがいても許されない恋心、それを抑えきる自信が私にはなかった。
だから中学卒業のあの日、私は身を隠した」
161 秋山啓吾 「夕乃・・・」
162 「啓斗・・・」
163 頭屋夕乃 「自分の夢を叶えて女になって、過去のことは忘れて新しい自分に生まれ変わって、
この感情とも縁を切るつもりだった」
164 「・・・」
165 頭屋夕乃 「そう誓った。でも3年前のある日、バイト先のコンビニに啓吾が現れた。
私も最初は啓吾だなんて分からなかったけど、啓吾がお酒を買う時に免許証を提示されて・・・」
166 「・・・感情が蘇ってしまった。だから啓吾と付き合った。そういうことか?」
167 頭屋夕乃 「それだけじゃないわ。いいえ、むしろその欲望はあれど付き合うつもりなんてまったくなかった。でも」
168 秋山啓吾 「俺がメールアドレスを渡したんだ」
169 「啓吾・・・!?」
170 秋山啓吾 「俺が夕乃に恋をして、メールアドレスを渡した。それがきっかけで付き合うことになったんだ」
171 「じゃあつまり・・・」
172 秋山啓吾 「知らなかったとはいえ、俺のせいでもあるんだ」
173 「・・・そうか、そういうことがあったのか」
174 頭屋夕乃 「お父さん!」
175 「啓斗・・・」
176 頭屋夕乃 「私、なんと言われようと啓吾が好きです!この気持ちに嘘をつくことはできません!
啓吾を幸せに・・・啓吾と幸せになりたいんです!だからどうか・・・結婚をお許しください!」
177 「啓斗・・・いや、夕乃。お前は本当に人騒がせで、バカで非常識で・・・素直すぎる娘だよ」
178 「本当に・・・まったく」
179 頭屋夕乃 「お、お父さん・・・お母さん!」
180 「啓吾」
181 秋山啓吾 「あ、は、はい!」
182 「お前の決めた相手なら何も口出しせず許す。男に二言があっちゃあならんよな」
183 秋山啓吾 「じゃあ・・・」
184 「あとはお前次第だ」
185 秋山啓吾 「・・・ああ、ありがとう、父さん!」
186 頭屋夕乃 「啓吾・・・」
187 秋山啓吾 「夕乃」
188 頭屋夕乃 「さっきの話、今まで黙っててごめんなさい!」
189 秋山啓吾 「・・・今までの話を全部聞いて思ったんだ。
夕乃は本当に俺のことを愛してくれていて、俺なんかに人生を本気で捧げるつもりなんだなって」
190 頭屋夕乃 「う、うん」
191 秋山啓吾 「実の兄だったっていうのは確かに衝撃的だったし、
今の今までそれを黙っていたことも容易に許されることじゃない」
192 頭屋夕乃 「そ、それは本当にごめんなさい・・・」
193 秋山啓吾 「でも、それを踏まえた言わせてもらおうと思う。・・・夕乃」
194 頭屋夕乃 「・・・はい」
195 秋山啓吾 「別れてくれ」
196 頭屋夕乃 「は・・・え?」
197 「え?」
198 「え?」
199 秋山啓吾 「え?」
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